魔法の言葉でその気にさせる
先日、ジャニーズ事務所を創業されたジャニー喜多川さんが亡くなられました。
1952年に少年野球チームとしてスタートした「ジャニーズ」が、1962年にタレント事務所になり、以降の姿はみなさんがよくご存知の通り国民的アイドルをたくさん作り、育て、国内・国外で大活躍しています。
男性に特化したというのも、ジャニー喜多川さんならではの視点だったのでしょう。
ジャニー喜多川さんは、何百・何千と送られてくる履歴書に全て目を通しているそうです。
その中から、将来光り輝く人を探しており、顔を見ただけで、10年後の姿がわかるとか。
ただ、どんなにすばらしい人が入っても、その人が活躍するようになるかどうかはジャニーズ事務所しだいです。
強いていうなら、ジャニー喜多川さんしだいです。
しかし、これまで多くのアイドルを育て上げた結果を見ると、育成方法も大変素晴らしかったということは想像できます。
ジャニー喜多川さんのどこが素晴らしかったのでしょうか。
魔法の言葉でその気にさせる
私がジャニーズを初めて知ったのは、たのきんトリオです(フルっ!若い人は知らないですよね・・・)。
幼い頃、トシちゃん・マッチ・よっちゃんがテレビの中でキラキラしていたのを覚えています。
映画も観に行きました。トシちゃんが、車に突っ込んで死ぬラストが幼心に衝撃でした。
それ以降も、シブがき隊や少年隊など、テレビで観ることはありましたが、ジャニーズのことは全く詳しくありません。ただ、最近でもたくさんのグループがデビューし、また、デビューして10年・20年経っているグループの人気が衰えず、しかも、その方々がMCなどの新しい分野でどんどん活躍されているのを見ると、タレントさん達の育成の仕方が素晴らしいなと思います。
これは、ビジネスの世界でも同じではないでしょうか。もちろん、芸能もビジネスですが、一般企業とかなり異なる特殊な世界ですので、芸能界だからできるんだろうと思われる方もいるかもしれません。
しかし、一般企業より、何十倍も何百倍も成功するのが難しい世界で、これだけの人を育て、これだけ永きに渡りトップに居続けるということを考えますと、学ぶべきところ、真似すべきところがあると思います。
特に、経営者、リーダーは、ジャニー喜多川さんから大きな学びがあります。
たくさんあるのでしょうが、私は3点挙げさせていただきます。
1.裏方に徹する
これは、ジャニー喜多川さんの哲学的なところかもしれません。
国内・海外問わず知名度があるジャニー喜多川さんですので、メディアに登場してもおかしくないと思いますが、全くと言っていいほど登場しませんでした。私は、お亡くなりになられて、初めてお顔を見ました。勝手な想像で、少々派手目な方と思っていましたが、かなり地味な印象でした。声はもちろん聞いたことありません。芸能界でも、お顔を知らないという方が多くいらっしゃるそうです。
また、2003年に第28回菊田一夫演劇賞 特別賞を受賞したのですが、堂本光一さんが代理で授賞式に行ったそうです。そのくらい、表に出られない方です。
主役はあくまでタレントで、自分は裏方に徹するということを頑なにされていました。
人は、自分の成果を知ってほしいですし、アピールしたいもの。しかし、ジャニー喜多川さんは徹していました。
また、お金をたくさん持っているのに、高級車を乗り回したり、高級なものを買ったり、着たりなどなく、決して華美でなかったそうです。
経営者、リーダーのみなさんはいかがですか?
仲間を主役にしていますか?
仲間のために尽力していますか?
仲間があげた手柄を自分の手柄にしていないですか?
経営者やリーダーになると「私が、私が」と前面に出られる方もいらっしゃいます。
それが決して悪いとは言いませんが、仲間を前面に出してあげることの方が、重要ではないかと思います。
2.魔法の言葉「You、やっちゃいなよ」
「You、やっちゃいなよ」
この言葉に多くの人が勇気づけられたと言います。これまでも、よくテレビでタレントさんがおもしろおかしく言っていたのは聞いたことがありますが、亡くなられてあらためて聞くと、すばらしい言葉ですね。
この言葉が、どれだけ多くの人にチャレンジする勇気を与えたことでしょう。しかも、この言葉の裏には、「なにかあったときには私が責任取るから」ということも隠れていたと思います。
このような、相手を本気にさせる言葉をかけてあげることこそが、人を伸ばす最大の魔法ではないでしょうか。
松下幸之助さんも、社員に「やってみはなれ」とよく言っていたそうです。
サントリー創業者の鳥井信治郎さんも「やってみはなれ。やらなわからしまへんで。」と言われていたそうです。
仲間を伸ばすのか、潰すのかは、たった一言で決まります。
子供も同じですね。良い言葉を子供を伸ばしますが、悪い言葉は子供を潰します。
みなさんは、普段どんな声かけをしていますか?
3.人を決して諦めない
ジャニーズ事務所には何百人、何千人の応募があるそうです。
全てに目を通し、一度採用した人にはその人が育つまで決して諦めなかったそうです。つきっきりでダンスレッスンもしたそうです。
”よっちゃん”こと野村義男さんは、「歌もダンスもできないボクを決して見放さなかった。ギターのことではたくさん怒られたけど、ギターを辞めろと言われたことは一度もなかった。」と言われてました。
このくらい情熱をかけられるからこそ人が育つのですね。
どの企業も人材不足と言われています。しかし、人材不足にしているのは誰なんでしょう?
せっかく入ってくれた人がすぐに辞めていくのは、本人に原因があるんでしょうか?
ゆっくり考えてみてはいかがですか?
まとめ
ジャニー喜多川さんが残された功績はとても大きいです。
どれだけの人が慕っていたかは、入院されているとき、病室に人が絶えなかったという話が全てを物語っています。人は、亡くなったときに初めてその人の価値が分かるそうです。
人は生まれてきたときは、全ての人が笑って祝福してくれます。しかし、亡くなったとき、泣いてくれるのか、喜ばれるのかは、その人が歩んできた道で決まります。
みなさんは、どんな道を歩いてきて、これからどんな道を歩んでいきますか?