M&Aで後悔しないために知っておきたいこと~病院・クリニック、中小企業のためのリスク対策~
M&Aで後悔しないために知っておきたいこと~病院・クリニック、中小企業のためのリスク対策~
M&A(合併・買収)は、後継者不在の病院・クリニックや中小企業にとって、事業承継の有効な手段として注目されています。M&Aを成功させるためには、まず、M&Aとは一体何か?を知ることが大切です。
但し、基礎知識を知ったからといって、成功するとは限りません。M&Aにはリスクが伴うことも事実です。リスクを理解しないままM&Aを進めてしまうと、経営に悪影響を及ぼしたり、売却する病院・クリニック・中小企業の経営者個人が思わぬ損失を被ったりする可能性もあります。
M&Aで後悔しないためには、どのようなリスクがあるのかを事前に理解し、適切な対策を講じることが重要です。
売却側が抱えるM&Aのリスクとは?
M&Aには、様々なリスクが潜んでいます。売却側にとって主なリスクとして、以下の4つが挙げられます。
1.財務リスク
●売却価格が適正価格よりも低くなってしまうリスク
企業価値を正しく評価できていなかったり、交渉が不利に進んだりすると、本来の価値よりも低い価格で売却してしまう可能性があります。
●売却後に隠れていた負債(簿外債務)が発覚し、責任を問われるリスク
過去の取引や会計処理、事業運営に法令違反などの問題(脱税、環境汚染、未払い金など)があり、それを適切に処理しておらず、しかも、意図的に隠していた場合、簿外債務として発覚し、買い手から損害賠償請求を受ける可能性があります。
●売却益に対する税金対策が不十分で、想定以上の税負担が発生するリスク
売却益には多額の税金がかかります。事前に適切な節税対策を検討しておかないと、手元に残る資金が想定よりも少なくなってしまう可能性があります。
2.法務リスク
●契約書に不備があり、M&A後にトラブルが発生するリスク
M&Aのプロセスや契約書は複雑で専門的な内容です。契約内容に不備があると、M&A後に予期せぬトラブルが発生する可能性があります。売手側は契約内容を十分に理解しないまま契約を締結してしまうことが多く、後々トラブルになるケースも少なくありません。近年では、売手側の経営者が負債の保証人になっている場合、買手側が保証人の解除をしない問題が多く起こっています。
●従業員との労働契約に問題があり、売却後に訴訟となるリスク
従業員の雇用契約や就業規則に問題があると、M&A後に従業員から売手側(元の雇用主)に対して訴訟を起こされる可能性があります。 例えば、従業員に対して違法な残業代未払いがあったり、不当な解雇を行っていたり、ハラスメントがあった場合など、M&A後であっても、従業員は過去の雇用主である売手側に対して訴訟を起こすことができます。
●医療法や個人情報保護法など、各種法令に違反している問題が発覚し、罰則を受けるリスク
事業運営において法令違反があると、M&A後も旧経営者個人が行政処分や罰金、損害賠償請求などのリスクを負う可能性があります。 例えば、医療法違反で業務停止命令や罰金、個人情報保護法違反で損害賠償請求などが発生する可能性があります。
3.人事リスク
●M&Aの情報が社内に漏洩することで、従業員に不安や不信感が増幅するリスク
M&Aに関する情報が社内に漏れると、従業員の間に動揺が広がり、生産性や企業の評判に悪影響を及ぼす可能性があります。 M&Aの情報漏洩により、優秀な人材が転職したり、従業員のモチベーションが低下したり、従業員とのトラブルや労務問題が発生するリスクがあります。
●M&Aが公表された後に、従業員が将来への不安を感じて転職してしまうリスク
M&Aが公表されると、従業員はM&A後の仕事内容や社内環境、雇用状況や社内でのキャリア(将来像)について考え、仕事や雇用の不安などから転職してしまう可能性があります。
●M&Aが公表された後に、従業員のモチベーションが低下するリスク
M&A後に、新しい会社や経営陣、待遇、労働環境などへの不満から、従業員のモチベーションが低下する可能性があります。
●M&Aが公表された後に、従業員とのトラブルや労務問題が発生するリスク
従業員は、M&Aに対する不満や不安から、会社に対してこれまでのことやM&Aに関する不満を表明したり、労働組合を通じて団体交渉を求めたりする可能性があります。
4.事業リスク
●M&A後に事業の継続が困難になり、評判やブランドイメージが下がるリスク
M&A後、買手企業の経営方針や戦略によって、事業の継続が困難になる場合があります。 特に、長年地域に根ざしてきた病院・クリニックや中小企業にとって、顧客や取引先との信頼関係は重要な資産です。M&Aによって、その関係が損なわれ、顧客の離反や取引先の喪失に繋がる可能性があります。
●M&Aプロセスに時間がかかり、通常の事業活動に支障をきたすリスク
M&Aには、準備、交渉、契約、統合など、多くの時間と労力を要するため、M&Aが成立し、新会社に移行するまでの間、通常の事業活動に支障をきたす場合があります。
病院・クリニック特有のリスク
病院・クリニックのM&Aには、上記に加えて以下のような特有のリスクも存在します。
●医師や看護師など、医療従事者の確保
M&Aの情報漏洩や、M&A後の経営方針の変化などにより、売却前に医師や看護師が大量離職してしまうリスクがあります。
●患者の信頼維持
M&Aによって経営者が交代することで、患者の信頼を失ってしまうリスクがあります。具体的には、
・診療内容の変化
M&Aを検討する過程で、経営効率化のために診療内容を縮小したり、変更したりする可能性があり、患者様がこれまで通りに診療を受けられなくなる可能性があります。
・風評被害
M&Aに関する噂や憶測が広まることで、病院・クリニックの評判が落ち、患者様が不安を感じて離れてしまう可能性があります。
中小企業特有のリスク
中小企業のM&Aには、以下のような特有のリスクも存在します。
●後継者問題の解決
M&Aによって後継者問題が解決できるとは限りません。M&A後も、経営に参画するなど一定期間のコミットを求められる場合があります。
●事業の継続
M&A後、事業を継続できる保証はありません。買い手企業の都合により、事業が縮小または廃止される可能性もあります。
●従業員の雇用維持
M&A後、従業員の雇用が維持されるとは限りません。買い手企業の判断により、解雇や雇用条件の変更が行われる可能性もあります。
M&Aのリスク対策
M&Aのリスクを最小限に抑えるためには、以下のような対策を講じることが重要です。
- セルサイドデューデリジェンス
財務、法務、人事、事業など、多角的な視点から自社を調査しリスクを洗い出す - 契約書の精査
弁護士などの専門家に依頼し、契約書の内容をしっかりと確認する - 専門家の活用
M&Aアドバイザー、弁護士、税理士など、専門家のサポートを受ける - 従業員への丁寧な説明
M&Aの目的や将来像を従業員に丁寧に説明し、理解と協力を得る
まとめ
M&Aには、様々なリスクが伴います。しかし、リスクを理解し、適切な対策を講じることで、M&Aを成功に導くことができます。M&Aを検討する際は、セルサイドアドバイザーなどの専門家のサポートを受けながら、慎重に進めることをお勧めします。
M&Aはセルサイドアドバイザーにご相談ください
M&Aをご検討されている病院・クリニックの理事長・院長先生、そして中小企業のオーナー・経営者様、M&Aは企業の未来を大きく左右する重要な決断です。 だからこそ、信頼できるパートナーと共に進めることが大切です。
M&Aを成功に導くためには、専門的な知識、豊富な経験、そして何よりも “売手側に寄り添い、売り手側の利益を第一に考える” 姿勢が不可欠です。
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M&A仲介会社とは異なり、売手側のみに寄り添い、利益を最大限に守ることを使命としています。 そのため、安心してM&Aを進め、 最高の結果を得ることを期待していただけます。
セルサイドアドバイザーは以下のサポートを提供します。
【M&A戦略の立案】
●病院・クリニック、中小企業それぞれの状況を丁寧にヒアリングし、最適なM&A戦略を策定します。
●事業の継続、従業員の雇用維持、地域貢献など、経営者の想いを大切にします。
【企業価値の評価】
●客観的な視点から企業価値を評価し、適正な売却価格を算出します。
●企業価値を高めるためのアドバイスを行い、より有利な条件でM&Aを進めます。
【買い手探し】
●豊富なネットワークを駆使し、最適な買い手候補を探します。
●医療理念や経営方針が一致する相手を見つけ、M&A後のスムーズな統合を支援します。
【交渉・契約】
●経験豊富な専門家が、売手側の代理人として交渉を代行します。
●契約内容を丁寧に確認し、リスクを最小限に抑えます。
【クロージング】
●煩雑な手続きをサポートし、スムーズなクロージングを実現します。
【M&A後の統合(PMI)支援】
●M&A後の統合プロセスをサポートし、新たな体制下での円滑な事業運営を支援します。
M&Aは、複雑で専門的な知識を必要とするプロセスです。 セルサイドアドバイザーは、M&Aに関するあらゆる課題を解決し、会社売却を成功に導くための “最強の味方” となります。
後継者不足、事業承継、経営の効率化など、M&Aを検討する理由は様々です。 まずは、お気軽にセルサイドアドバイザーにご相談ください。
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